それだけ ~先生が好き~
ちょうどHRが終わり、城田に聞いてみた。
「さっき何?どうしたの?」
「あ~・・・さっきの天井の穴さ、やってたのちょうど見てたんだよな」
「え・・・見てたの?それ、言わなくていいの?」
城田は気まずそうな顔をして、まわりをきょろきょろと見渡して、
「ちょっと、来て」
と、私を廊下に連れ出した。
そのとき、先生が向こうから歩いてきた。
「おはよう、お前ら何やってんの?」
赤いジャージのポケットに手を入れている先生。
かっこいいな。
「別に。なんもしてねぇよ、うるせーな」
ちょっと機嫌を悪くしたのか、先生と目をあわせず私をひっぱってた。
「城田~・・・あの言い方はないでしょ・・・」
「いいよ、どーせ松戸だし。いいから来い」
そう言って連れ出された。
「ここでいっか。で、昨日のことなんだけど」
誰もいない、1階の廊下。
「見たのはいいんだけどさ、言いにくいんだよ」
「え?何それ・・・どういう意味?」
城田はゆっくりと話し始めた。
昨日のこと。