それだけ ~先生が好き~
「何も理由わかってねーのに、言えねーよなー・・・」
城田は大きな溜息をついた。
今までは、自分がやっていたほうなのに。
城田は最近変わった。
前とは雰囲気が違う。
前みたいに、壁に穴あけたり、廊下に水ぶちまけたりしていた城田じゃない。
「なんか、城田変わったね・・・」
思わず出た本音。
城田を見ると、見たことないくらい真っ赤な顔してた。
「うるーせなぁ!!誰のせいだよ!お前が松戸松戸言うからだろ!!」
なんて、両手で私の髪をぐしゃぐしゃにする。
えぇ?
私のせい?
「私のせい??何それ・・・。そんなに、先生のことばっかり?」
「まぁ、いいけど。あ、松戸に言ってみっか?」
それは、名案かもしれない。
先生ならきっと生徒の気持ちを誰よりもわかろうとしてくれる。
前の・・・私のときみたいに。
もしかしたら、もう気づいてるかもしれない。
「うん、言ってみよっか。先生なら大丈夫だよね」
二人で放課後、職員室に行く約束をした。
なんだかんだ、前より仲良しになった気がする。
城田が私に気持ちを伝えてくれたからだってことは、わかってるよ。