それだけ ~先生が好き~


城田は知っていることを全部話した。


自分が勝手に言いつけることがいけない気がした、って照れた。


先生は、そんな城田の頭をぐしゃぐしゃって撫でたんだ。



「そっか。話してくれてありがとうな。城田ぁ、お前変わったなぁ!!なんか新しい城田だな」


それは私も思ってたこと。


前の城田とは比べものにならないよ。


「実はさ、水野結構体育もさぼっててな。廊下ですれ違っては、声かけてんだけどな。やっぱなんかあったんだろうな」


ちょっとうつむいて、う~ん・・・って首をひねりながら、


「そういうことがあったってことだし、気にして見とくよ。タイミング見計らって話してみる。もちろん、他の先生には言わない」


やっぱり先生は先生だ。


好きだな。


ずっと変わらない。



生徒を思う気持ち。



「城田がそんなこと言うなんて思ってもみなかったな~。俺信用できる?」


「あ~!!うるせぇってば!!調子乗るなよ!」


二人のやりとりが面白くて、思わず笑う。


新しい城田、かぁ。


笑いあう二人を見て、私も笑う。



城田が変わったから、この時間を過ごすことができた。



ありがとう、城田。




先生の笑顔も、城田の笑顔も・・・



ずっと続くよう、神様に祈った。








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