それだけ ~先生が好き~
理由
朝起きたとき、もうとっくに一時間目が始まっている時間だった。
そうなってしまうと、焦ろうにも焦れなくなった。
先生に怒られちゃう。
ゆっくりと着替えて、髪を整えて、空を見ながらの登校。
犬の散歩をしている人たちから、不思議な目を向けられていた気がする。
そりゃそうか。
もうとっくに学校は始まってるんだもん。
「こらぁ!!遅い!大遅刻~!」
え?
下駄箱の前で仁王立ちする先生に唖然とした。
「なんで、先生ここにいるの?授業は??」
「今の時間は俺授業ないの!生徒指導中です~。」
あ、そっか。
先生だって毎時間授業があるわけじゃないよね。
「まぁ、お前来てないって城田が言ってたから、生徒指導もかねて待ってた」
待ってた・・・だって。
マフラーで隠した頬が赤いのを先生はきっと気づいてる。
「ほら、早く授業行っといで。あと、放課後職員室な」
またまた、え?って顔をした私に先生は笑いながら、
「呼び出し!城田と一緒に・・・な!」
背中を押してくれた。