それだけ ~先生が好き~


今日は廊下じゃなくて、相談室。


先生が私と話をしてくれたあの場所。



「じゃ、結果から言うと・・・いろいろ精神的に辛かったらしい」



イスに座って、足を組んだ先生。


その真剣な目を見つめる。




「本人のいないとこであんまり言っちゃいけないと思うし、あいつも言われたくないだろうから詳しくは言えないけどな。でもきっといろいろ重なっちゃったんだろ」



前の私を思い出す。


先生に救われた私は、これ以上ないくらい嬉しかった。


先生を好きだったからってだけじゃない。


水野さんも救われたかな。



そうだと・・・いいな。




「・・・天井の穴の件も、むしゃくしゃしたってさ。自分見失って、どうでもよくなったからって。言い出せなかったのも、面倒だったからみたいだけど」



「そっか。まぁ、よかったな。水野も話聞いてもらえて。松戸役に立ったな」


ほっとしたのか、城田の表情も和らいだ気がする。


「何言ってんだ!お前、何様だよ?」


先生が城田の茶色い髪をぐしゃぐしゃに撫でる。


それを横で見ていた私と先生の目があった。



「水野、嬉しそうだったよ。お前ら心配してたって言ったらさ。あれ?でも別に話したこととかないんだっけ?クラス違うもんな」



「うん、でも今度話しかけてみよっかな。わかんないかな??」



「あぁ、そうしてやれよ。いろいろありがとうな」



私の頭を撫でる先生の手が、ひどく愛しかった。




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