それだけ ~先生が好き~


先生は授業に珍しく出ていた水野さんを、授業の後に呼んだらしい。


授業でもうわの空だった水野さん。



水野さんはうつむいたまま、先生の話を聞いていたそう。


『授業あんまり出ていないけど、どうした?』


『天井の穴の件・・・見た奴がいたらしいんだけど、やった?』


『俺でよければ聞くから』


先生の言葉を聞いているのかいないのかわからない。



そして突然、先生の目を見てこう言った。






『生きてる意味って、何?』






涙でいっぱいになったその目は、助けてと叫んでいたんだ。






それから、水野さんは自分のことを話し始めた。




ぽろぽろと、こぼれ落ちるように、崩れていくように・・・。




水野さんは自分を先生に打ち明けた。





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