それだけ ~先生が好き~
『なんで生きなきゃいけないの』
『なんで死にたいって思っちゃいけないの』
『なんで死にたい人が死ねないの』
『なんで』
まるで呪文のように水野さんは先生に気持ちをぶちまけた。
それが水野さんの本当の気持ち。
だから否定しちゃいけない。
「俺・・・正直驚いちゃって。何も言えなくなっちゃったんだけどな。それが水野の気持ちなら、受け止めなきゃって思った」
やっぱり素敵な人。
すごいな。
先生は・・・やっぱりすごいね。
それなら水野さんはきっともう大丈夫。
先生がいるもん。
「よかった・・・ね。水野さん、元気になるといいね」
「うん。それ、水野にも伝えてやって。喜ぶから」
先生の優しい笑顔が窓の光で眩しい。
先生は立ち上がって、「じゃ、今日の会議は終わり!」なんて言って笑った。
水野さんは今どうしてるかな。
明日、話しかけてみよう。
理由は・・・よくわからないけど。
辛いことがあるなら、誰かにそばにいてほしいはずだもん。
私はそうだったから。