それだけ ~先生が好き~
水野さんは笑ってくれた。
それなのに、本当の笑顔で笑えない私。
「あの・・・ゆきって呼んでもいい?」
嬉しそうな顔。
その顔が見たかったはずなのに。
「うん、もちろん!あ、水野さん、下の名前・・・は?」
「あ、言ってなかったっけ・・・?えっと、晴香です」
「じゃ、これからもよろしくね、晴香」
そう言った私は手を握って微笑んだ。
晴香も、今までで一番の笑顔。
私、本当は泣きたいのに。
涙を見せることは出来ない。
言ってはいけない。
先生と付き合ってる・・・なんて。
ばか。
私何がしたいんだろう。