それだけ ~先生が好き~


廊下を歩いている先生を確認して、私は席を立った。


不思議と緊張はしていなくて、自然にふるまえる気がする。



「せんせー!プリント明日持ってくればいい??」

「あぁ、明日までだぞ。それ以降はもう知らないからな~」



先生のクラスの女の子達。


先生の背中を叩きながら笑ってる。


その声に涙すら出ない。


分かってる。


最初から私だけの先生じゃなかった。


何度も自分に言い聞かせたはず。




その笑顔から目が離せない。




まばたきもできない。




動けなくなっちゃった。


情けないなぁ・・・。






ボーっと立ったままの先生を見つめる私に、先生が気づいた。



「どうした?なんかボーっとしてる。さっきも・・・何があった?」


真剣な顔で、私の肩を叩いた先生を見た瞬間、涙が溢れてきた。



無理にそらすこともできず、ただ先生を見た。



驚いてあたふたする先生が可愛くて、愛しくて・・・。





この気持ちは一生忘れない。





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