それだけ ~先生が好き~
「ごめんね先生。大丈夫、ちょっと疲れてるだけだから。放課後時間ある?」
涙をふく私の言葉に不安そうに頷く。
「大丈夫だよ。帰りのHR終わったら飛んでくるから!」
手を振って離れていく先生に、手を振り返す。
先生は、放課後私が相談をしにくると思ってるんだ。
先生、違うんだ。
今日は・・・
角をまがって見えなくなった後ろ姿。
どんな気持ちで放課後を迎えることになるのかな。
せめて泣かないようにしなきゃ。
いっぱいいっぱいありがとうを言って、笑顔でさようならするの。
できるかな。
晴香が先生を好きだから別れるんじゃない。
だけど、晴香には先生が必要だ。
本当のことを知ってしまったら、晴香は壊れてしまう。
私はもう・・・大丈夫だから。
『私だけの先生』が消えていくだけ。
ただそれだけのこと。
誰も悪くない