それだけ ~先生が好き~
雨が降り出してきた、午後の空。
不安定な天気はまるで自分のようで目をつぶりたくなる。
今日で、最後。
私はこれでいいの?
いいんだよ、これで。
もう十分シアワセもらった。
一生忘れられそうにないけれど、今はこうすることが正しいはず。
晴香がまっすぐに先生を想う気持ちがうらやましい。
私もそうだったんだろうな。
純粋に、ただ好きだったんだろうな・・・。
今は、わがままになりすぎちゃった。
目が合うだけで一日笑顔でいられたのに、今はそのぐらい当然だって思ってる。
晴香、ごめんね。
好きなんだよね。
晴香は私のクラスに遊びに来ては、萌と笑って過ごしてた。
素直に笑える晴香がうらやましくてしかたがない。
こんな私の気持ちを知らない晴香は笑顔でこう言った。
『ゆきと松戸先生のおかげだよ。今笑えるのは。これからもよろしくね』
晴香は優しい。
優しい人にこれ以上辛い思いはさせちゃいけない。
何度も何度も深呼吸を繰り返す。
終わりの時間は近づいていくばかり。