それだけ ~先生が好き~


「終わった?じゃあ行くか!鍵取って来るから先に相談室行ってて」


HRが終わって廊下に出てきた私を見て、真っ先に声をかける。


先生は気づいてる。


私の様子がおかしいこと。


だから余計明るく接してくれてるんだ。



先生は私のことなんでも知ってる。


私に元気がないとき、一番見たいのは元気な先生だから。




「・・・待ってないで鍵取ってくればよかったのに」


小声で呟くと、先生は


「飛んでくるって言ったろ?約束は破りません!!」


だって。




そっか。



約束したもんね。




「ほら!俺鍵取って来る間に心の準備しとけ」



鍵を取りに行った先生は、今何を考えてるんだろう。



心の・・・準備?



もう出来てるはずなのに。





先生の笑顔を見るたび、声を聞くたび崩れそうになる。




こんなんじゃだめだ


先生が好きだということがこんなに苦しくなるなんてね・・・。





< 200 / 522 >

この作品をシェア

pagetop