それだけ ~先生が好き~
「先生、私ね、ずっとずっと先生のこと好きだったんだ」
涙を拭って、笑顔で話す。
「だから先生が悩んでるの気づいてくれたとき・・・嬉しくてしょうがなかったよ。それで、先生が振り向いてくれるなんて思いもしなかった」
不思議そうな顔で頷いている先生は、徐々に顔を不安そうになっていく。
うすうす気づいているのかもしれない。
だけどもう戻れない。
「毎日毎日、学校に来て、先生を見つけてはドキドキして。すっごく楽しいんだよ。先生がいたから私頑張れた。・・・それに、先生が過去のこと話してくれたのも、やっぱり悩んだけど・・・嬉しかったんだ」
左手の薬指に今日も光る指輪は、先生の彼女がいたしるし。
そう受け止められたとき、少し成長した気がした。
先生は私の手を両手で包んで、まっすぐ私の目を見る。
手が
身体が
震える
涙が止まらない
「だけど・・・もう先生と一緒にいられない」
雨の音にかき消されればいいのに。
だけど強くはっきりと響いた、私の気持ち。