それだけ ~先生が好き~
5章 先生への想い
合唱祭
先生と別れて、まだ4日しか経っていない。
もっと経ったような気がする。
だけど、私はまだ何も進めてない。
授業で先生と顔を合わせることも、廊下ですれ違うことも怖い。
先生はどう思ってるんだろ。
今、目の前で合唱祭の話をする先生の顔をいまだに見れない。
体育の授業の前に、時々こうやっていろんな話をするんだ。
それが楽しみだったのに、今では下を向いて過ごすことしかできない。
「来週は合唱祭だけど、6組はどう?1組は抽選で負けて余った曲になっちゃったんだぞ。6組は抽選にならなかったな」
曲は毎年候補曲の中からクラスでひとつ選んで、他のクラスとかぶったら抽選。
先生のクラスは見事に第三希望までかぶって、抽選に負けたらしい。
「でもさ、余った曲でもみんなで頑張れればそれでいいよな。勝ち取った曲だって頑張んなきゃ意味ないもんなぁ。6組は、どうだ?」
「頑張ってるに決まってんじゃん!」
先生は「6組の状況をスパイしてみました」なんて言って、みんなを笑わせる。
ひとりだけ笑っていないのは、明らかに浮いてるかもしれないけど、笑えない。
合唱祭・・・。
先生と別れてから、何もやる気が起こらなくなってたけど・・・。
もうすぐだ。
晴香は伴奏をやるんだって。
先生にほめてもらいたいなって言ってた。
ほめてもらえればいいね。