それだけ ~先生が好き~

動き出す気持ち



「お疲れさまでした~」


部活が終わってもう夕方。


「ゆきちゃん、日誌と鍵、職員室に行って先生に渡してくれる?」


先輩によく頼まれるこの仕事。


実は・・・結構嬉しい。

だって、先生の顔を見れるチャンスの1つ。


先生の机は入り口のすぐそばだから、先生がいればすぐわかる。


「はい、いいですよ。じゃぁ、ドア閉めときますね」

「うん!お願いね~。萌ちゃん今日早退しちゃったから、今日1人?」

「そうですね・・・萌、塾らしくて」

「そっか。気をつけてね!バイバイ!」


先輩は手をふって部屋を出て行く。

他のみんなも出て行って、私1人になった。


窓の鍵を確認して、部屋を出た。


ドアの鍵を閉めて・・・職員室へ。


「失礼します・・・」

小声でそういって職員室のドアを開けると・・・


先生がパソコンをしてた。


資料作りかな?


先生の横を通り過ぎて、顧問の先生の机に日誌と鍵を置く。


顧問の先生はいなかった。


鍵と日誌を置いて、ドアに向かう。



先生の後ろ姿が見える。


かっこいい。



心の中でさよならを言って、通り過ぎようとしたら・・・



「今井、帰るの?部活終わった?」



先生が話しかけてくれた。


それだけのことでドキドキする・・・。


「はい・・・終わりました」


うまく話せているかな。


顔赤くないかな。


先生の声・・・聞けた。





< 22 / 522 >

この作品をシェア

pagetop