それだけ ~先生が好き~
動き出す気持ち
「お疲れさまでした~」
部活が終わってもう夕方。
「ゆきちゃん、日誌と鍵、職員室に行って先生に渡してくれる?」
先輩によく頼まれるこの仕事。
実は・・・結構嬉しい。
だって、先生の顔を見れるチャンスの1つ。
先生の机は入り口のすぐそばだから、先生がいればすぐわかる。
「はい、いいですよ。じゃぁ、ドア閉めときますね」
「うん!お願いね~。萌ちゃん今日早退しちゃったから、今日1人?」
「そうですね・・・萌、塾らしくて」
「そっか。気をつけてね!バイバイ!」
先輩は手をふって部屋を出て行く。
他のみんなも出て行って、私1人になった。
窓の鍵を確認して、部屋を出た。
ドアの鍵を閉めて・・・職員室へ。
「失礼します・・・」
小声でそういって職員室のドアを開けると・・・
先生がパソコンをしてた。
資料作りかな?
先生の横を通り過ぎて、顧問の先生の机に日誌と鍵を置く。
顧問の先生はいなかった。
鍵と日誌を置いて、ドアに向かう。
先生の後ろ姿が見える。
かっこいい。
心の中でさよならを言って、通り過ぎようとしたら・・・
「今井、帰るの?部活終わった?」
先生が話しかけてくれた。
それだけのことでドキドキする・・・。
「はい・・・終わりました」
うまく話せているかな。
顔赤くないかな。
先生の声・・・聞けた。