それだけ ~先生が好き~
近づいてくる荒い足音。
後ろを振り向いたらだめ。
そこには、きっといる。
必死で追いかけてくる先生がいる。
そう思うと、自然に足が動き出した。
ただひたすら前へ走る。
今までで一番速いかもしれない。
追いつかれないように、ただただ走る。
先生は私といるべきじゃない
戻らなきゃいけないんだよ、先生は。
追いかけてなんて・・・来ちゃだめだよ。
どこを走っているかわからない。
駅なんてとっくに通り過ぎたかもしれない。
なるべく見つからないようなところまで全速力で走った。
足がもつれる。
誰もいないせまい通りに出て、走りながら後ろを確認してみる。