それだけ ~先生が好き~



家に帰れば、お母さんがぎこちない優しさで迎えてくれた。



最近は仕事の終わりが早いらしく、部活が終わる時間には帰ってきてた。



私の好きなミルクティーを入れてくれて、いろんな話をするこの時間が唯一の支え。


今まではこんなことなかったから。



「なんか・・・元気ないんじゃない?最近」



お母さんが心配してくれることなんて、もってのほかだった。

だからなのか、心配させないよう・・・つい強がってしまう。



「ううん、大丈夫。今日体育で疲れちゃっただけ」



嘘。


体育なんて出てない。


保健室のベッドで泣いてた。



お母さんは戸棚からお菓子を出して、私の前に座った。



「それならいいんだけど・・・ほら、いっぱい食べて元気だしなね」


「そんなに食べたら太っちゃうよ~」


「太りなさいよ、少しは」



他愛のない言葉を交わすシアワセ。



お父さんの買ってきてくれたお菓子を食べながら飲んだミルクティーが、おいしかった。



こんな時間すら



先生が背中を押してくれたからだと考えるうちに


視界が少しぼやけてくる自分に嫌気がさす。




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