それだけ ~先生が好き~



廊下から入ってくる風が冷たい。



やっぱり学年集会は行くのやめよう。


空いたままのドアを閉めようと、席を立った。





その瞬間、怒鳴り声が響いた。




「何やってんだ!!集会中だろ!!早く体育館戻れ!!!」





びくっとして、声のした方を見ると・・・


向こうに社会の先生の後ろ姿が見える。


私じゃ・・・ないよね?



ドアから顔を覗かせてみると、その先生の先にいたのは前に話したことがある城田の友達。


「不必要なものは持ってくるなって言われてるだろ!!」


携帯を平気な顔で触って、聞かないふりをしている。


いつものことなのかな。


私も見つかったらやばいかも・・・



ドアを音が出ないように、静かに閉めた。


こうしてればばれない。




社会の先生の怒鳴り声は、激しさを増していく。




「まぁ、そんなに怒らないでやってください」





優しい声が聞こえた。



先生の声だ。



集会から抜け出して、様子を見に来てるらしい。


時々集会中いなくなるのは、こういうことだったんだ。




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