それだけ ~先生が好き~
優しい声に耳を傾けながら、机にうつぶせになる。
夢で聞いていたのと同じ声。
「何言ってんですか、松戸先生。こいつら何度言ったってわかんないじゃないですか」
「だからといって・・・頭ごなしに怒っても、こいつら聞きませんよ」
注意するときって、こんな感じなんだ。
先生の優しさが、あの人たちにも伝わればいいのに。
姿は見えないから・・・どうなってるかわからない。
「ほら、集会中だから体育館行け。携帯預かるから」
「は?何でお前に預けんだよ。つか行かねーし」
あーあ・・・
反抗しないほうが楽なのに。
先生だって怒りたくなるよ。
「行けって。また親御さん呼ばなきゃなんないぞ!」
「親?どーぞ、お願いしま~す」
開き直った態度。
先生の怒鳴り声がそろそろ響き渡りそう。
なんて、ひやひやする前に、社会の先生の怒鳴り声が爆発した。
「親の気持ちも考えろ!!どれだけ迷惑かけてると思ってるんだ!!」
これには先生も何も言わなかった。
足音が遠ざかっていくのが聞こえたから、しぶしぶ体育館に行ったんだろう。
先生も行っちゃったかな。
集会終わるまであと30分もある。
寝よっかな・・・。