それだけ ~先生が好き~


優しい声に耳を傾けながら、机にうつぶせになる。


夢で聞いていたのと同じ声。



「何言ってんですか、松戸先生。こいつら何度言ったってわかんないじゃないですか」


「だからといって・・・頭ごなしに怒っても、こいつら聞きませんよ」



注意するときって、こんな感じなんだ。

先生の優しさが、あの人たちにも伝わればいいのに。


姿は見えないから・・・どうなってるかわからない。



「ほら、集会中だから体育館行け。携帯預かるから」


「は?何でお前に預けんだよ。つか行かねーし」



あーあ・・・



反抗しないほうが楽なのに。


先生だって怒りたくなるよ。



「行けって。また親御さん呼ばなきゃなんないぞ!」


「親?どーぞ、お願いしま~す」



開き直った態度。


先生の怒鳴り声がそろそろ響き渡りそう。


なんて、ひやひやする前に、社会の先生の怒鳴り声が爆発した。



「親の気持ちも考えろ!!どれだけ迷惑かけてると思ってるんだ!!」



これには先生も何も言わなかった。


足音が遠ざかっていくのが聞こえたから、しぶしぶ体育館に行ったんだろう。


先生も行っちゃったかな。


集会終わるまであと30分もある。





寝よっかな・・・。








< 245 / 522 >

この作品をシェア

pagetop