それだけ ~先生が好き~

空はまだ明るく、夕方とは思えない。

先生の後ろ姿をただ見つめる。


これから始まる夏休みを・・・


長い時間を1人で耐えて過ごせるほど、強かったならよかった。


1ヵ月以上の長い時間・・・。

よかった。


夏休みが始まる前に話が出来て。


はじめて行く、相談室。


「今日さぁ、体育でドッジボールやって転んだからひざが痛いんだよなぁ」


急に話しかけてくれた。

こうやって、いつもいろんな話をしてくれる先生。


「あははっ。先生、転んだんですか?」


先生は歩く速度を少し遅くして私を待ってくれている。


私が追いつくと、先生はゆっくり歩き出してくれた。



2人で並んで歩いた。



先生が笑ってる。



先生の笑顔を見たら、安心したせいか・・・

涙が・・・出そうになった。


あとちょっと我慢しなきゃ。

もうすぐ相談室で思い切り泣けるよ。


先生は、泣きそうな私に気づいたのか、

私の背中を叩いて


叩いて

叩いて・・・


「先生~・・・痛いよぉ・・・」


私は笑えた。


「痛くない!」


先生

先生・・・



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