それだけ ~先生が好き~
「そんな謝るなよ~・・・ごめんな、俺こそ。ずっと辛そうにしてるの気づいてたのに・・・何にもできなかった」
それだって・・・私がいけなかったのに。
先生は何ひとつ悪くなんてない。
「先生は・・・悪くないよ・・・わ・・・私が・・・」
「でも、お前を辛くさせたのは俺だろ?・・・聞いたよ、城田から」
その言葉に驚いて先生を見上げる。
笑顔を浮かべた先生がこんなに近くにいる。
「し・・・城田??城田・・・何て言ってた?」
「ん~・・・早く今井んとこ行ってやれって言われた!」
やっと気づいた。
城田は私の全てを知ってた。
城田は・・・わかってた。
それでも何も言わなかったのは、私を傷つけないようにするための、城田なりの優しさだったんだね。
「あ、やべ、集会中だ・・・戻らなきゃなぁ」
時計を見てそわそわしだす先生。
先生はまだ泣いている私に気をつかってるようで、なかなか離れてかない。
「私なら・・・大丈夫だよ、先生。行かなきゃだめだよ。私は・・・ちょっとこの顔じゃ出れないし・・・」
申し訳なさそうに腕をほどいて、ポケットを探ってる。
なんだろ・・・?