それだけ ~先生が好き~
本当は
放課後の寒くて静かな廊下。
ここを通るたび・・・先生を思い出してた。
思い出のつまった相談室に向かう私は、それだけで泣きそうだった。
先生といると・・・やっぱり決心が揺らぐんだ。
だけど、それが本当の私の気持ちだったから。
ニセモノの・・・自分を言い聞かせるための決心を捨て去ってくれたのは、いつも先生だったんだ。
静かな廊下を歩いていると、先生の姿が見えた。
向こうの廊下の窓に映った先生。
職員室から鍵を握って出てきた。
そして・・・向かうのは私と同じ場所。
遠くでもすぐにわかる大きな背。
かっこいい横顔を見つめる。
歩く速度をゆるめて先生を見つめていると、先生がこっちを見た。
気づかれたかな?
先生は少し走りながら私の元へきた。
「あ~、走っちゃった。だめだな俺。いつも注意してるのになぁ」
かわいい。
そう思ってしまうのもしかたないくらい、かわいく笑うんだ。
結局合流して向かった相談室は、来ない間にすっかり変わってた。