それだけ ~先生が好き~
相談室はこの学校に2つあるけど、いつも来るのは理科室前の方。
廊下のはじっこにあって、日当たりもいい。
それに、とても静かなんだ。
私が初めて相談室につれてってもらったときも、先生がうるさくないからってこっちにしてくれた。
もう1つのは職員室の近くで、人通りも多くて・・・騒がしいから。
そんな相談室が、生徒会がやってる『自習室』になってた。
ドアの表には、誰かが作った『自習室』の看板。
中にはぬいぐるみがいくつも置いてあって、絵なんかも貼ってある。
でも、この机とイスは・・・変わってない。
大きい机にたくさん並べられたパイプイス。
この一番手前の2つに・・・二人で座って話してたんだよね。
「来ないうちにだいぶ変わっちゃったなぁ。生徒会でやってんだっけ。今日は開放日じゃないのか」
鍵を閉めながらほっとしたように言う先生。
「開放日に来たらまずいよなぁ・・・気をつけないとな」
二人で前と変わらないイスに座った。
向き合うと、本当に久しぶりだと実感する。
「では・・・始めますか?」
腕を組む先生の姿が、好き。
暖かそうな紺色のダウンを着てる。
いつもいつも助けられた、その優しい笑顔。
もう忘れるなんて出来ない。
いつもそばにいてほしいってこと、伝えよう。
本当の気持ちを伝えよう。