それだけ ~先生が好き~


相談室はこの学校に2つあるけど、いつも来るのは理科室前の方。


廊下のはじっこにあって、日当たりもいい。


それに、とても静かなんだ。


私が初めて相談室につれてってもらったときも、先生がうるさくないからってこっちにしてくれた。


もう1つのは職員室の近くで、人通りも多くて・・・騒がしいから。


そんな相談室が、生徒会がやってる『自習室』になってた。


ドアの表には、誰かが作った『自習室』の看板。

中にはぬいぐるみがいくつも置いてあって、絵なんかも貼ってある。



でも、この机とイスは・・・変わってない。

大きい机にたくさん並べられたパイプイス。


この一番手前の2つに・・・二人で座って話してたんだよね。



「来ないうちにだいぶ変わっちゃったなぁ。生徒会でやってんだっけ。今日は開放日じゃないのか」



鍵を閉めながらほっとしたように言う先生。


「開放日に来たらまずいよなぁ・・・気をつけないとな」


二人で前と変わらないイスに座った。


向き合うと、本当に久しぶりだと実感する。



「では・・・始めますか?」



腕を組む先生の姿が、好き。



暖かそうな紺色のダウンを着てる。




いつもいつも助けられた、その優しい笑顔。



もう忘れるなんて出来ない。



いつもそばにいてほしいってこと、伝えよう。



本当の気持ちを伝えよう。




< 253 / 522 >

この作品をシェア

pagetop