それだけ ~先生が好き~
「ごめんなさい・・・私・・・何も言えなくて・・・」
手に先生から借りたハンカチを握り締める。
泣かないでちゃんと話さなきゃ。
「・・・後になって、すごい後悔して・・・なんで本当のこと言えなかったんだろうって」
視界がぼやける。
泣かずにいるのは無理みたい。
その後から言葉が続かなくなった私を・・・先生が助けてくれた。
「よしよし・・・大丈夫だから。水野のことだろ?」
やっぱり・・・聞いてたんだ。
「水野と何かあったのかと思ってたんだけど、仲良さそうにしてたから・・・。でも、城田に言われてやっと気づいた。もっと早く・・・気づいてやりたかった」
城田からはいろいろ・・・というかほとんどのことを聞いたらしい。
私は城田に先生と付き合っていたことすら言ってなかったのに。
全部お見通しだったんだ。
「城田・・・職員会議終わるまで、俺のこと待っててさ。よっぽどお前が大事なんだろうなって思った。それで・・・もう何時間も話してた気がする」
私の元気がなくて・・・その原因が先生じゃないかって、城田ならすぐわかる。
私が知らないところで城田は行動してくれたんだ。
何度もありがとうを言いたい。
先生は城田から聞いたことをひとつひとつ話してくれた。