それだけ ~先生が好き~
泣いても泣いても泣き足りない。
先生の腕の中にいることが、本当にシアワセ。
「・・・よく泣くなぁ・・・俺いない間、泣いた?」
先生は子供をあやすように背中をさする。
「泣いたよ・・・いっぱいいっぱい。毎日・・・泣かない日なかったよ」
「そっか・・・俺もこんなに辛いの、何年ぶりだったんだろ」
その言葉に、はっとした。
・・・きっと、昔の彼女さん以来のことなんだろう。
切なそうな顔で見つめられると、何も言えない。
「じゃぁ、仲直り・・・で、いいですか?」
そう言って先生は右手を差し出した。
大きい手に触れる、私の小さな手。
片手じゃ物足りなくて・・・両手で包みこむように握手した。
少し冷たい先生の手。
ずっと離したくない。
離すことなんて出来ない。
「うん、仲直り・・・だね。・・・ごめんなさい」
「謝るなよぉ!・・・じゃぁ、今度はお前の話聞こうか?」
うんって頷いた私の手は、先生を包み込んだまま。