それだけ ~先生が好き~



先生は・・・私の話を聞きながら、私の目をじっと見る。



別れた理由も・・・なんとなくは知ってるみたいだけど、全部話した。



くだらないことも、大事なことも、全部。


そのひとつひとつを、先生がちゃんと受け止めてくれる。




「・・・本当は、別れたくなんてなかったんだ。でも、晴香が・・・晴香が先生好きだって聞いて・・・」


先生から借りたハンカチで、次々とこぼれる涙を拭う。


ぼやけた視界の先にいる先生が・・・優しい顔をしている。









「晴香の邪魔になっちゃうって思ったら、こうするしかなくて・・・」











もう、言葉が続かない。


ハンカチで拭うことなく、スカートに涙が落ちる。



悔しい。



過去の自分が、悔しくてたまらない。


自分を守ることを選んだ私。




そのせいで、結局自分も傷ついて・・・何より先生を傷つけたんだ。





先生は私を抱き寄せて、「もういいよ」って言ってくれた。




優しさが抱き寄せられた肩から伝わる。





< 258 / 522 >

この作品をシェア

pagetop