それだけ ~先生が好き~
先生は・・・私の話を聞きながら、私の目をじっと見る。
別れた理由も・・・なんとなくは知ってるみたいだけど、全部話した。
くだらないことも、大事なことも、全部。
そのひとつひとつを、先生がちゃんと受け止めてくれる。
「・・・本当は、別れたくなんてなかったんだ。でも、晴香が・・・晴香が先生好きだって聞いて・・・」
先生から借りたハンカチで、次々とこぼれる涙を拭う。
ぼやけた視界の先にいる先生が・・・優しい顔をしている。
「晴香の邪魔になっちゃうって思ったら、こうするしかなくて・・・」
もう、言葉が続かない。
ハンカチで拭うことなく、スカートに涙が落ちる。
悔しい。
過去の自分が、悔しくてたまらない。
自分を守ることを選んだ私。
そのせいで、結局自分も傷ついて・・・何より先生を傷つけたんだ。
先生は私を抱き寄せて、「もういいよ」って言ってくれた。
優しさが抱き寄せられた肩から伝わる。