それだけ ~先生が好き~


窓から差し込む光が懐かしい。


また先生と一緒に見られるなんて・・・信じられない。



やっと泣き止んだ私は、光に照らされて眩しい先生の顔から目を逸らせない。



離れていた分・・・身体にしみこませるように、じっと見つめる。



それに気づいた先生は、笑いながら、「真面目な話するぞ!」なんて、わざと真面目な顔を作って見せた。



「まぁ、真面目っていうか・・・これからのことな」



きちっと座りなおして、ハンカチを握り締める。



「仲直りできたわけですが・・・気を抜かずに生活してないとな。学校の中でこうやって二人で会ったりするのも、毎日は出来ないし・・・」



少し悲しいけど、仕方がないこと。

私・・・もっと強くならなきゃ。



これからはそうでもしないと、やっていけないよ。



「ばれない程度に、今までどおり・・・だな。でも、辛くなったら言えよ」


私の頬をつねって、かわいく笑う先生。


「はぁい・・・」



先生は私の返事に、よしって頷いた後・・・思い出したように言った。



「・・・水野のこと、どうする?さすがに・・・言えないよな。付き合ってることは。付き合ってるっつっても、こうして会ってるだけだけどなぁ」


「でも、先生を好きなら・・・それがすっごく嬉しいんだよ」



えぇ~?なんて言って照れてる先生。



本当だよ。



こうして、会えるだけでいいんだ。




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