それだけ ~先生が好き~
「言わない方がいいかなって思うけど・・・それだと、お前が辛くならないかって心配でさ」
そんなこと・・・先生は心配しなくていいのに。
晴香が自慢げに先生の話をしたって、平気で笑えるぐらい・・・強くなりたい。
「大丈夫だよ、私は」
少し強がってるけど・・・そのぐらい出来なきゃ。
結局、言わないってことにした。
本当に、今までどおり。
「またこうして、時々会おうな。我慢しすぎるなよ~」
イスから立ち上がって、窓の鍵を確認してる先生を見て、今日はさよならなんだって思うと・・・寂しい。
かばんを持って、先生の隣に立ってみて、思い出した。
そういえば・・・
別れるとき
ここで・・・キスされたんだっけ。
思い出すと、見る見る顔が真っ赤になる。
キスなんて呼べるほどじゃないかもしれない。
だけど、私にとっては忘れられない瞬間。
先生のジャージの背中に顔を押し付けて、照れた真っ赤な顔を隠した。