それだけ ~先生が好き~
先生は外に落ちてるゴミを拾ってる。
最近よく授業で言ってた。
2階や3階から牛乳パックのごみやプリントを丸めたのとかをよく投げる人がいるって。
それで、拾ってるんだ。
ひとつひとつ拾い上げる先生の横顔に見とれる。
前に、私が廊下でサンドイッチの袋のゴミを拾ったら・・・たまたま見てた先生がすっごくほめてくれたんだ。
『240人以上も学年にいるのに、この学校に来て初めて見た』って。
それからは・・・ゴミが落ちてたら拾うようになったんだ。
本当はね、先生が拾ってたからなんだよ。
先生が廊下でゴミを拾うの、ずっと見てたんだ。
先生のまねをしたんだよ。
私が先生の『初めて』になれたんだ。
ほんのささいなことを喜んでくれる先生。
先生が喜ぶんなら、いくつだって、何回だって拾うよ。
寒そうにしながらも、こうやって学校のために・・・みんなのために、頑張ってる先生。
好きだなぁ・・・。
そのとき、ふと私と先生の目が合った。
笑顔で手振りながら、窓に近寄ってくる。
私は急いで窓を開ける。