それだけ ~先生が好き~



「お前、ひとりで掃除してんの?他の奴らは?」



拾い上げたゴミを大きいビニール袋に入れながら、私に聞く。



そう聞かれると・・・なんて答えればいいんだろ。

言ってしまえば、みんなさぼりなんだけど。



「えっと・・・さぼりかな・・・」


「お前ひとりでやってんの?終わんないだろ」



待ってろ、と一言残して、先生は職員玄関に走っていった。


窓を閉めて、再び掃除を始める。




やったぁ。



今日は・・・先生と話せた!!


誰もいないのをいいことに、にやけながら掃除。




「今井!!」





大きい低い声。


振り向けば、いつの間にか先生がいた。



先生、来てくれたんだ。



「ここあったかいな~。外めちゃくちゃ寒いぞ!!」



ほうきを取り出して、掃除を始めだす先生。



「・・・手伝ってくれるの?」


「だって、終わんないじゃん。他の奴ら連れ戻そうかと思ったけど、間に合わないし」



せっせと木くずを掃く先生・・・。


先生と掃除できるなんて、考えてもなかったよ。



ありがとう。




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