それだけ ~先生が好き~


周りの見学者はどの人も友達と砂浜を駆け回って、先生達に怒られてる。


私は砂浜で駆け回る元気もなく、砂いじり。

砂の山を作ってみたり。



あ~・・・崩れちゃう。



さらさらの砂は山にしてもすぐに崩れ落ちる。



落ちていた貝殻を集めて、崩れかけた砂山に飾り付ける。



・・・寂しい。







「今井、どうした?」



砂山を大きい影が覆った。




見上げれば、そこには暑そうに汗を拭いてる先生。




さっきまでの寂しさは、もうどこかに飛んでいった。




「あ、えっと・・・風邪ひいたんです」


「顔色よくないぞ、昨日学校休んでたろ」



私の前髪をかきわけて、おでこに手をあてる。


あたたかい、先生の手のひら。



「やっぱ、下がってないじゃん・・・帰る?」


「やだ・・・見学する」



お願い。


先生と一緒にいたい。



冬休みは・・・また会えなくなるから。





遠くでもいいから・・・少しでも先生といたい。






< 278 / 522 >

この作品をシェア

pagetop