それだけ ~先生が好き~
周りの見学者はどの人も友達と砂浜を駆け回って、先生達に怒られてる。
私は砂浜で駆け回る元気もなく、砂いじり。
砂の山を作ってみたり。
あ~・・・崩れちゃう。
さらさらの砂は山にしてもすぐに崩れ落ちる。
落ちていた貝殻を集めて、崩れかけた砂山に飾り付ける。
・・・寂しい。
「今井、どうした?」
砂山を大きい影が覆った。
見上げれば、そこには暑そうに汗を拭いてる先生。
さっきまでの寂しさは、もうどこかに飛んでいった。
「あ、えっと・・・風邪ひいたんです」
「顔色よくないぞ、昨日学校休んでたろ」
私の前髪をかきわけて、おでこに手をあてる。
あたたかい、先生の手のひら。
「やっぱ、下がってないじゃん・・・帰る?」
「やだ・・・見学する」
お願い。
先生と一緒にいたい。
冬休みは・・・また会えなくなるから。
遠くでもいいから・・・少しでも先生といたい。