それだけ ~先生が好き~



休み時間になると、女子が絶え間なく城田を囲んでいたっけ。



チョコ持ってくるの禁止なのに。


城田のロッカーはチョコで埋め尽くされてたような・・・。


『いらねーのに。つかこんなに食えるかよ!!』


そう嘆いていた城田。




私は悩んでいた。



先生にチョコをあげようか、あげないか。



・・・結局勇気が出なくて、あげなかった。



バレンタイン当日の帰りのHR後、私は先生のクラスの子を待ってた。



そのとき、教室から出てくる先生と目が合ったんだ。



1年の頃はそうして毎日、その子を待っている間、教室から出てくる先生と話すのが楽しみで仕方なかった。



その日も同じだった。



だけど、なんとなく気になってた。


先生は生徒からチョコもらったのかなって。



聞こうかな、と思った瞬間だった。





『先生、はい!』





先生のクラスの女の子が、先生にクッキーを渡した。



『おぉ、ありがとう』



そうお礼を言った先生。




もう一度私と目が合って、微笑んでくれた。




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