それだけ ~先生が好き~
萌は私の腕を引っ張って、女子をかきわけてゴール前に向かう。
向こうには走ってくる城田。
「頑張れ!城田!!」
萌は大きい声で叫ぶ。
私は萌の背中から覗く。
頑張れって叫べるほど元気じゃないけど、小さい声でいっぱい言った。
頑張れ、もうすぐゴールだよ。
あとちょっとだよ。
「キャーーーーーー!!!」
見事一位でゴールした。
女子が先生の注意もかまわず城田を取り囲む。
「おめでとう!!すごいね~」
「お疲れ様!!」
「城田君運動なんでもできるんだね~!!」
女子に囲まれても、背の大きい城田は顔が見える。
見学場所に戻って、まだ囲まれている城田を眺める。
「すごいね、城田。一位だね」
「う~ん・・・あれはゆきの為に走ったのかも」
なんて冗談を言う萌を先生から借りたタオルで叩く。
そんなことしている間に、城田が戻ってきた。