それだけ ~先生が好き~



「冬休み・・・会える?」



先生の顔を見上げて、ドキドキする。



「おう、会おうな。俺結構部活あるけど・・・いつ空いてる?」


「いつでもいいよ、先生が忙しくないときなら」


これは本心。

最近先生は忙しそうだから。

先生のためならなんだって我慢できる。



「気ぃつかうなよ!!でも、ありがと!クリスマスとかの方が、嬉しい?」



私を喜ばせようと、必死に考えてくれる先生。


その気持ちだけで十分なのに・・・。



「うん・・・嬉しいけど、部活ある?」

「ほら、また気つかう!!あるけど、午前だけだよ」



私の頭をぺしって叩いて、撫でる。

そのしぐさにどうしようもなく好きだということを実感する。


先生の胸の中で泣きたい。


我慢していたものをはきだしたい。


そして・・・頭を撫でて、大丈夫だよ、俺はここにいるよって、言ってほしい。


「あぁ~!!泣きそうな顔してる!!大丈夫か?ごめんな、なかなか話聞いてやれなくて。明日は、ゆっくり会おう、な?イブじゃなくてごめんな~・・・」



目を潤ませた私の頭をくしゃくしゃにして、先生は謝る。


今日はクリスマスイブ。



これだけで十分だよ。



近くに先生がいてくれてることだけで・・・十分。


今日のことも、忘れられないね。




明日の時間を約束をして、家に帰るまでの間・・・ずっとにやけてた。


明日も会えるんだ。




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