それだけ ~先生が好き~



イブの夜は、今までにないぐらいシアワセな夜だった。



お父さんもお母さんも早く帰ってきてくれて、みんなでケーキを食べた。

お母さんが切ったケーキは、なんだかぼろぼろで崩れちゃってた。


だけど・・・今まで食べたケーキの中で一番おいしかったんだ。



みんなで笑顔で食べたから。



ケーキにのってたチョコレートのお家と、サンタさんは私にくれたんだ。


チョコレートのお家は、中身がスカスカだったし、サンタさんはあんまりおいしくなかったけど・・・。


三人で、笑いあえたんだ。


明日、先生に報告したいことだらけだった。




その夜、部屋で一生懸命明日着ていく服を考えた。



クローゼットの中の洋服たちを引っ張り出して、あわせてみる。


あーでもない、こーでもないって頑張ってたら、あっという間に11時30分。



そろそろ寝ないと・・・。



歯磨きすらしていないことに気づいて、部屋を出ようとしたら・・・。



ガチャ・・・



静かにドアを開ける音。


・・・?


「お父さん、どうしたの?」


ドアを開けたまま、ニコニコ笑っているお父さんは、私に大きな袋を差し出した。




「はい!メリークリスマス!!」




照れくさそうにそう言って、なにがなんだかわからない私の頭の上に袋をのせた。



えぇ・・・??


本当に・・・?



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