それだけ ~先生が好き~


信号が青になる。


先生は私の頭にのせていた手を、ハンドルにうつす。



泣き止まなきゃ。

今は・・・先生も運転中だから。



「・・・肩!!」



・・・??


先生は前を見て運転をしながら、そう言った。


肩??


なんかついてるのかな。



「肩・・・って・・・何が??」



鼻をすすりながら先生に聞く。

先生は前を向いたまま、笑顔。


「泣きたいんなら、泣いていいよ。嬉しかったんだろ?ただ、今は運転中だから頭撫でてやれないけど・・・肩によっかかるか?」


突然の言葉に、目を丸くする私をちらっと見て、笑う。


どうしていいかわかんなくなっちゃった。

ただ、目の前にいる先生が愛しくてしょうがない。


優しすぎるよ、先生は。



「なんて顔してんだよ、ほら!!」



頭を引き寄せられて、先生の肩によっかかった。



私は涙がこぼれてシミをつくらないように必死になる。


先生のぬくもりが顔に直接伝わる。


あったかい。





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