それだけ ~先生が好き~
緊張して、心臓の音がどこまでも響きそうな気がする。
だって、先生の肩に・・・よっかかってるなんて。
そんな私をからかうように、信号で止まっては目を合わせてにやって笑う先生。
「もうすぐ着くからな~」
そういえば、私どこ行くのか知らない。
どこに向かってるんだろう。
「先生・・・?どこ行くの??」
「あぁ、言ってなかったっけ?そうだなぁ、景色のいいところだな」
空も暗くなってきた。
冬はすぐ暗くなるから、怖かった。
だけど、今日は先生と一緒に迎える夜なんだね。
かなりの時間、車に乗っているんだと思う。
先生といると、全然そんな風に感じないね。
もっと車に乗っていたいよ。
先生のタバコの匂いがする、この車に・・・。
「到着!!」
車から降りると、目の前には小さな坂。
あとは木が生い茂っていて、何も無い。
「行くぞ、足元気をつけろよ」
先生は私の右手を握って、前へ進む。
私の冷たい右手に、先生の暖かい左手。