それだけ ~先生が好き~
「あそこのイルミネーションすごいねぇ!!あ、あっちも!」
ごめんね。
変なこと聞いてごめんね。
涙でイルミネーションがにじむ。
ぼんやりとした先に、キラキラした光が見える。
丁寧にブローしてきた髪で顔を隠すように、ベンチに座ったままの先生に背を向ける。
私は本当にばかだね。
何でもっと早く気づかないんだろ。
ばぁか・・・。
沈黙が流れる空気を、じゃりじゃりって地面を踏みしめる音だけが響く。
先生の足音。
後ろから近寄ってくるのがわかる。
「・・・先生・・・」
振り向くと、先生が抱きしめてくれた。
先生の大きな胸に顔を押し付けて、ごめんなさいを繰り返した。
私の身体を包んでくれる大きい腕。
「・・・謝るなよぉ・・・お前は悪くない!」
頭をポンポン撫でてくれる。
「ごめんなさ・・・私、気が付くの遅くて・・・」
「いいの!確かに・・・翔とも来たけど、今はお前と来てるんだから!!」
好き。
先生がどうしようもなく好き。