それだけ ~先生が好き~
「ほら、ベンチ座ってゆっくりしよ」
先生のコートを半分ずつ肩にかける。
今までに着たどんなコートよりもあたたかく感じる。
「あんまりゆっくり会えなかったもんなぁ・・・久しぶりだな」
遠くを見ながら話す先生が見ている方向を、私も見る。
青やピンクのイルミネーションが輝いてる。
「うん・・・我慢してたんだよ、私」
「ん~?俺だって・・・後ろ姿見るたび抱きしめたくなってたんだぞ」
ぎゅうって抱きしめてくれる先生の顔が近すぎて、めまいがする。
今日一日で、寂しさを埋める。
これからもずっとずっと頑張っていけるように。
「今井~、手出して」
抱きしめていた腕を緩めて、ニコニコしている先生。
何だろう。
「何?クリスマスプレゼント??」
「せいか~い!!当てられちゃったなぁ、はい」
私の手のひらに乗せられたピンクの包み。
開けると・・・シルバーのうさぎのチャームが付いたブレスレットが入ってた。
「わ~!!可愛い!!!うさぎだぁ~」
大好きなうさぎがついている。
先生は嬉しそうに私を見つめる。
「お前学校のかばんにうさぎつけてたろ?好きなのかなって思ってさ」
先生はかじかんだ手で腕にブレスレットをつけてくれる。
「学校行くときは、かばんにでもつけて」
少し冷たい金属のうさぎ。
これから泣くことがあっても、きっとこのうさぎが支えてくれる。