それだけ ~先生が好き~
「おらっ!!何ボーッとしてんだ!ちゃんと見てたか?」
ボーっと空を見上げたままの私に先生が突っ込む。
・・・先生と話すの、3日ぶり。
「あ・・・はい。見てました」
先生の顔を見ずに、今度は下を向いて答えた。
ドキドキして・・・うまく話せない。
どうして私はこうなんだろう。
どうして萌みたいに普通に出来ないんだろう。
可愛くない私・・・
「先生ありがとうございました!出来そうな気がする~」
「出来そうな気、じゃなくて出来るようにしろよ!」
いいな、萌。
先生と話せて・・・。
友達までうらやましがる私。
「今井もできるようにしとけよ~。今度テストやるからな!」
満面の笑顔を私に向けてくれる先生。
今日、名前呼んでくれた・・・
小さなことに大きく感動する。
先生が好き、好き・・・
そんな気持ちがこみ上げてきて、逃げるようにその場を立ち去る。
「あ、ゆき~!待って!!」
萌が呼んでるのも気にせずバレーコートのはしまで走る。
顔は暑さと緊張で真っ赤。