それだけ ~先生が好き~


今年は本当にたくさんのことがあった。


先生が私の悩みに気づいてくれたことから動き出した。


まさか、気持ちが通じ合うなんて・・・考えもしなかった。



今、隣にいられるなんて。



それまでに、いろいろあったけど。


悲しい思いも・・・たくさんした。


迷惑もたくさんかけた。



たくさんのごめんなさいと、ありがとうを先生に言いたかったんだ。




「先生、ごめんなさい、あと・・・ありがとう」




少し照れながら、先生の目を見つめて言った『ごめんなさい』と『ありがとう』。


先生は微笑み返してくれる。



まっすぐ見つめていると、言葉なんていらないように思える。



先生の大きな目が、私の涙がたまった目を見る。




それだけで、十分伝わる気持ち。






「今井・・・」







顔をちょっとだけ傾けて、少しずつ先生の顔が近づいてくる。



私の肩は、先生の両手にしっかりつかまれてる。




優しいキス。




唇が・・・そっとそっと触れ合う。



ちょっとだけ苦い、タバコの味。




< 301 / 522 >

この作品をシェア

pagetop