それだけ ~先生が好き~





う~・・・。





なんだろう、この微妙な空気。



斜め前の席の城田は、2時間遅刻してきて、授業中にもかかわらず笑いながら教室に入ってきた。


小さい声でおはようを言ったら、いつものように『おう』って返してくれた。



なのに・・・。



なんで、今日に限ってまじめに授業受けてるの?

 
いや、いいことなんだけど。


いつもなら、寝るかしゃべるか髪にワックスつけて怒られるかなのに。


余計に緊張するよ。



窓の向こうには、体育を教える先生が見える。



いつもいつも見ていた、遠い姿。



笑ってボールを蹴ってる先生を、愛しく思う。



ねぇ、先生。



好きです、あなたが。



好きで好きで・・・



どうしようもないよ。



遠くから見つめることしか出来ないけど



ちゃんと先生は・・・そばにいるよね。



それだけで



勇気がわいてくるよ。




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