それだけ ~先生が好き~



「あの時が・・・初めてだったよな、お前と二人でじっくり話したの」



はははって笑いながら、タバコの箱をポケットの奥にしまう。



「まさか、入学して2ヶ月でガラス割るとはなぁ」





こいつは



こいつは、いつだってそうだ




直接、聞けばいいだろ





うざったいほど、問い詰めればいいだろ




それなのに、こいつは・・・




「ごめんなさいって、泣きながら謝って・・・二人で校長先生のとこ行ったっけ」




遠い目をして、松戸は廊下の窓からさす光に眩しそうにする。






「・・・悲しいこと、あったのか?」






目が合った。




逸らせない。





涙がただただ落ちる。




かっこ悪いけど




これが多分本当の自分だから




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