それだけ ~先生が好き~
「さっき、見たぞ~。城田にも渡してたろ!!廊下見たらお前ら・・・飛び出していこうかと思ったんですけど」
怒ったように、私の頭をチョップする。
「だって・・・いっぱいお世話になったんだもん」
「そういえば、城田なんかあったのか?」
先生は思い出したようにそう言った。
何かって・・・
まさか?
「何で、そんなこと聞くの??」
「ん、いや・・・この前、美術室前の廊下で、元気なさそうにしてたから・・・」
やっぱり。
知ってたんだ。
また泣きそうになる。
空になった紙袋を握り締めてうつむく私の顔を先生が覗く。
「・・・話せる?お前とのことなんだろ?」
優しい優しい声で問いかける。
先生はいすを二つ窓のそばに並べて、座った。
「ほら、おいで」
隣のもうひとつの席に、私を招く。