それだけ ~先生が好き~



「失礼します・・・」




部活が終わって、日誌を置きに職員室に入った私の目に飛び込んできたのは・・・



野球のユニフォームを着た・・・先生。




大きいその背中は、先生のものだとすぐわかる。


向こうで、他の先生と笑いながら、立ってコーヒーを飲んでる。



顔が熱くなるのがわかる。


だって・・・かっこよすぎるんだもん。


帽子なんて、かぶっちゃって・・・。



初めて見た。

ユニフォーム着てるなんて、思ってもなかった。

そっか、今日野球部試合だったんだね。



日誌を置いて、ドアへと向かう私に、先生が気づく。



「どう?中学生に見える?」



なんて、聞く。


顔が真っ赤なんだよ、私。



「わぁ、昨日も面白い格好でしたよね。あはは」



よそよそしい敬語なんて使っちゃった。


だって、そんなかっこいい先生・・・まともに話せないよ。



「え?昨日のは、最後の学年集会だからだよ!そんなに面白かった?俺、合唱祭でスーツ着てたときは、誰だか気づかれなかったし・・・」



私を笑わせる。


そんな先生が大好き。


もう・・・授業、してもらえないかもしれないの?



やだよ・・・先生。




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