それだけ ~先生が好き~



前はよく、校門の前に立っておはようって挨拶してたよね。



いつの間にか・・・そんなこともなくなってた。

忙しくなったんだよね。



そういうところで、先生の忙しさを実感しては、悲しくなってたことを思い出す。



白地に青いラインが入ったジャージは、きっと先生にしか似合わない。


ゆっくりゆっくり歩いた。



先生に心配かけたくなくて、必死に平然を装って歩いた。

だけど心は先生に声をかけたがってた。


この間ね、少し悲しいことがあったんだ。


お父さんとお母さんがね、けんかしたんだ。


小さな小さなことから、二人の言い合いが膨れ上がっていって

苦しくて苦しくて

泣くことしかできなかったよ。


また、崩れていくんじゃないかって

怖くて怖くて

仕方なかったよ。


でも、もう我慢できるよ。


我慢しなきゃ、だめだよね。



私には、先生からもらったたくさんの愛があるもん。



だからね、平気だよ。



・・・そう、平気なんだ。



先生、挨拶してくれる?




私、ちゃんと元気に頑張ってるよ。

ほめてくれる?



ねぇ、先生・・・。




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