それだけ ~先生が好き~


大きな・・・声がした。


私が顔をあげると、先生のクラスの女の子3人が先生の隣にいた。


「先生!数学教えて!図書室で勉強しよ~」


「数学って・・・俺、教科体育だよ」


「そんなの知ってるよ。でも、中2ぐらいのならわかるでしょ?」


「図書室で待ってるから来てね!絶対だよ!」



図書室は夏休みの間、勉強する生徒のために決まった時間開放されてる。

そこで勉強していたらしい女の子3人は、また図書室の方へ戻っていった。




私は、下を向いて廊下を通った。



先生、気づかないでね。



声を・・・かけないでね。




今の私は、最低だから。





パタパタ・・・



先生は、もうすぐそこにいる。



足音が近い。



あとちょっと・・・



すれ違うまで、あとちょっと。




「俺、数学苦手なんだよな・・・」







いいよ



別に



話しかけなくて



いつもは嬉しいことも



今はただ悲しい






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