それだけ ~先生が好き~
私は緊張しながら学校に来たというのに・・・
悠はそんなこと忘れたかのように、昨日のドラマの感想を話す。
正直少し安心した。
「ゆきも見ときなよ!超面白いし~」
「え?あ~・・・うん、来週は見るね!」
「あ!また寝てた??反応おっそ~い!」
けらけら笑う悠を見ていると、そんな緊張もどこかへ行った。
もう少し、心の準備が出来たら・・・言いたいな。
なんて、思ってたら。
「ゆき、ほら!!松戸!!」
私の心臓は、まるで漫画の主人公のように、ドキッと音を立てた。
悠は私の耳元で、確かにそう言った。
悠の指差す方向には、城田と話しながら歩く先生。
な・・・なんでぇ?
何も、言ってないのに。
悠はにっこり笑って・・・私の前髪をちょんまげにする。
「顔、真っ赤ですよ、ゆきさん!」
私・・・わかりやすいのかな。
自分から・・・言いたかったのに。