それだけ ~先生が好き~
実感
先生と付き合っているということは、悠にはまだはっきり言えてない。
ていうか、言う必要ないような・・・
親公認ならぬ、悠公認?
少なくとも私が先生を好きだということは、知ってるみたい。
「あ~!!マジ、数学無理!!何、因数分解って」
悠の嘆きが、みんなの笑いを誘う。
今日は中間テスト。
「あと一教科だから頑張れ~。また明日もテストだけど」
後藤先生は、問題用紙を列ごとに分ける。
「マジありえない・・・明日もテストとか・・・つか、後藤ティが試験監督って時点で終わってる~。なおさら数学できねーよ」
悠は後藤先生を後藤ティと呼ぶ。
後藤ティーチャーだから、略して後藤ティ。
そんな呼び名も、広がりつつある。
私は、ずっと期待してる。
先生が・・・試験監督に来てくれることを。
今日は、社会、国語、数学の三教科。
明日は英語と、理科。
今日は来なかった。
明日は・・・来るかなぁ。
キーンコーン・・・
鐘の音とともに、問題を解き始める。
難しい数式を、時折先生の顔を浮かべながら解いた。