それだけ ~先生が好き~
無理して笑顔を作った私を、先生は強く抱きしめる。
苦しいよ、先生。
「無理すんなよ・・・俺、確かに暇じゃないけどさ、いつでも聞くよ」
「今は、先生に心配してほしくないんだ。もうすぐ修学旅行だから」
思わず、本音を言っちゃった。
「お前は・・・なんでそんな、気をつかうんだぁ?お前に頼られるならいつだって嬉しいんだぞ」
「ううん、でもだめなの。大丈夫、我慢する。約束したじゃん、先生!!」
バレンタインの日、オレンジ色の光がさすあの教室で約束したよね。
もう3年生だから、我慢するねって。
我慢できる。
少しは強くならなきゃ。
「・・・本当に、いいの?」
やっと身体を離して、顔見れた。
優しすぎる先生は、本当に心配性だね。
「うん!へーき!!」
先生といると、気持ちが軽くなる。
大丈夫だよ。
離婚・・・なんて、きっと違う。
そう信じたい。
先生は、もう一度抱きしめて、「修学旅行終わったら、すぐ話そうな」って言ってくれた。
楽しんで来ようね。
私の空元気は、先生のおかげで本当の元気になったんだよ。
ありがとう。